~Still~
満員の会場でテレビカメラを前にし、動じることなく周りの人間の心を一瞬で鷲掴みにし、懐柔してしまう24歳の若き社長、神谷颯太。
その時である。
「楠木先輩!神谷社長がお帰りなんですが、この度の出演および新たな契約について、一言先輩にお礼をと」
健斗は、弾かれたようにオフィスの出入り口を振り返った。
自主事業統括部は全ての人間が出払い健斗ひとりであったが、笹田が顔を輝かせて声を響かせたあと、神谷颯太が姿を現した。
颯太は健斗に眼を止め、切れ長の眼を一瞬見開いた。
笹田が続ける。
「神谷社長、今回のフェアはこの、楠木健斗の発案なんです。僕は、契約を任されただけで」
健斗を静かに見ていた颯太が、白い歯を見せて笑った。
その時である。
「楠木先輩!神谷社長がお帰りなんですが、この度の出演および新たな契約について、一言先輩にお礼をと」
健斗は、弾かれたようにオフィスの出入り口を振り返った。
自主事業統括部は全ての人間が出払い健斗ひとりであったが、笹田が顔を輝かせて声を響かせたあと、神谷颯太が姿を現した。
颯太は健斗に眼を止め、切れ長の眼を一瞬見開いた。
笹田が続ける。
「神谷社長、今回のフェアはこの、楠木健斗の発案なんです。僕は、契約を任されただけで」
健斗を静かに見ていた颯太が、白い歯を見せて笑った。