~Still~
「ですね」

エレナは、少し恥ずかしそうな颯太を見て微笑んだ。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
……なによ。

こんなところでイチャイチャして!

高宮理恵は、星霜百貨店での日本酒フェアを見て、改めて颯太の魅力に酔い、思わず彼を追い掛けたが、彼が関係者と共にオフィスへと姿を消してしまって会えずにいた。

仕方がないので店先で待っていたが、エレナが颯太に自分よりも早く出会ってしまったので、夢中で二人の後をつけたのである。

こんな二流役者の一体どこがいいのよ!

見た目が綺麗なだけで、中身なんて空っぽでしょ?!

高宮理恵は、唇を噛み締めた。

六年前に出逢い、再会して盛り上ってるのか知らないけど、彼は渡さない!

目一杯傷つけてやる。

ズタズタに引き裂いてやる。

高宮理恵は、颯太に守られるように歩き出したエレナの背中を、全身全霊を込めて睨み付けた。
< 225 / 351 >

この作品をシェア

pagetop