~Still~
「うちの会社って、過酷なの。何日も働きづめで徹夜もザラ。肌は荒れるし、婚期は遅れるし、焦りと疲れでもうボロボロよ」

理恵は、更に続けた。

「彼と結婚できたら、凄くラッキーでしょ?見目麗しい青年実業家。お金には困らないし、あくせく働かなくてよくなる。こんな素敵な出会いって、あまりないのよね」

…………。

理恵は、もう一口コーヒーを飲むと、エレナの全身を眺めた。

「あなた、綺麗よね。スタイルもいいし、女優なんて言わば特殊な職業だし、もてはやされるでしょ?人気ハリウッドスターと恋愛する機会もあるでしょうし、パーティーに行きゃ、金持ちの男とすぐ知り合える。
綺麗なんだから誰とでも恋に落ちる事が出来るじゃない。
だから、神谷颯太じゃなくてもいいでしょ?私は、彼にしか、出会ってないのよ」

理恵は、一旦言葉を切って、再び口を開いた。
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