~Still~
「あなたが来るまで、私が一番彼に近かった。私、あなたの情報を彼にあげてたのよ。あなたの出演したドラマを調べてDVDをプレゼントしたり、過去のCMを見せたり、モデル時代のあなたの画像だって探し出したわ。
彼はその都度、抱いてくれた」

エレナは、眼を閉じた。

「あら、ショックだったかしら。
……とにかく、彼を譲ってもらいたいのよ」

エレナは、眼を開けると同時に、フフフと笑った。

「なによ?!」

「アホらし」

エレナは、両手を首の後ろに回すと、長い髪をパサリと跳ね上げた。

それから頭を振って、うんざりしたように理恵を見つめる。

「あなた、随分勘違いしてるのね。私が颯太くんをあなたに譲る?私が彼と別れたら、彼はあなたの元に行くのかしら?あなたと恋をするかしら?
第一、譲るとか、譲られるとかの話?彼はモノじゃないのよ」
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