~Still~
エレナは、失笑した。

「私が好きなのは、彼自身なの。社会の一員として、真面目にしっかり働いてる神谷颯太なのよ。たとえ金持ちじゃなくても、かまわない」

「あなたは、女優だからそんな綺麗事を言うのよ!!
女優なんて、少し売れたら金に苦労しないじゃない!
いいわね、女優で!」

エレナは、呆れたように溜め息をついた。

「あなたに私の女優人生を話す気はないわ。けれど、あなたが考えているよりも、1000倍厳しい世界なのよ。
……私、そろそろアメリカに帰らなきゃならない時期なの。
どうぞお構い無く、彼に告白でも何でもして、抱いてもらうなり、養ってもらうなりすれば?
私には女優として、叶えなきゃならない夢がある。自分の脚でしっかり歩かなきゃならないの。
あなたみたいに、男に寄生して生きていくなんて出来ないのよ」
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