~Still~
じゃないと前に進めない。

「分かってるよ、玲哉。自分で決着をつけてくるよ」

玲哉はニヤッと笑った。

「それでこそ、城田エレナだぜ」

エレナは、ホッと息をつくとビールを飲み、玲哉を見た。

「で、あんたは何しに日本に来たのよ」

「そりゃ、好きな女に会いに来たのに決まってるだろ」

「日本人なの?」

「ああ。まあ、そいつにゃ恋人がいるんだけどな」

「はあ?!」

「好きなんだから仕方ねーだろ」

「バカね」

エレナはそれ以上何も言えなかった。

玲哉の瞳が、切なげに揺れた気がしたから。
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