~Still~
エレナは笑った。

そんなエレナを見て、ケイレブは続けた。

「近頃はネットで作品を売ったり、この間は、ギャラリーで出品した半分の作品が売れたんだ」

「凄いじゃない!良かったね!」

明るい声が反射的に口から漏れて、エレナは自分に驚いた。

自分を裏切り、心にひどい傷を負わせたまま立ち去ったケイレブの成功を、こんな風に喜べるなんて思いもよらなかったのだ。

「ごめん……」

突然、ケイレブの苦し気な声が響き、エレナはコクンと息を飲んだ。

「あの日の事で、俺に会いに来たんだろ?
…………本当に、ごめん」

エレナは、冷えた炭酸水の瓶を握り締めた。

今から問わなければならない、これからの為に。
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