~Still~
ケイレブの瞳からみるみる涙が盛り上がって溢れ、カウンターにポトリポトリとこぼれ落ちた。

「今頃、謝っても遅いけど、ごめん、エレナ。本当にごめん」

エレナは、涙でグシャグシャになった顔で、ケイレブを見つめた。

「私、好きな人がいるの。2歳年下の人。でも、怖くて怖くて、踏み込めないの。また、ケイレブの時みたいになっちゃうんじゃないかって。
また、酷く傷つけられて裏切られるんじゃないかって!
だって彼も、年下なんだもん」

「エレナ!」

ケイレブが、悲鳴のような声でエレナの名を呼び、カウンターを飛び越えるときつくエレナを抱き締めた。

「俺のせいで、本当にごめん。
けど、その人は、俺じゃないんだ。君を裏切った俺じゃない。
酷い男は俺で、その人じゃ、ないんだよ。
年下でも、しっかりした男はいるんだ。
俺のつけた傷で、これ以上苦しまないでくれ………………君を、解放するから!」
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