~Still~
…………君を、解放するから…………

解放。

本当に?

この痛みから、解放してくれるの?

エレナは、ケイレブの温もりを感じながら呆然と彼の声を聞いた。

「こんな言い方、最後まで酷くて嫌なヤツだと思われるだろうけど」

ケイレブは一旦言葉を切って身を起こすと、至近距離からエレナの瞳を覗き込んだ。

「君を、俺のかけた呪いから解放する。だから君はもう、恐がらないでいいんだ。もう、エレナは自由だから」

ケイレブは、両手でエレナの頬の涙を優しく拭った。

「これで呪いは解けるから」

エレナの額にそっと口付けを落として、ケイレブは泣きながら笑った。

「うん」

涙で濡れた互いの顔を見つめながら、二人はしばらくそのままでいた。
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