~Still~
「……颯太くんとは、会ってないし連絡もとってない。
もう、私の事なんて忘れてるよ」

咲希と亜子が顔を見合わせて口を揃えた。

「忘れるわけないでしょ」

「……もう、結婚してるかも」

「神谷颯太は、独身だし彼女もいません!」

咲希はそう言うと、ガサガサとバッグを探り、一冊の雑誌を手に取ると付箋を目印に、それを勢いよく開いた。

……颯太くん……!

「えっとね、この女性誌によると、某有名化粧品メーカーが、日本酒の入った基礎化粧品を発表し、その酒の提供元が、神谷酒造なんだって!
で、神谷颯太がインタビューに答えたと言うわけ」

「さっすがよね、この女性誌!
酒の提供元が神谷酒造じゃなかったら、絶対取り上げてないわ。
しかも読者が知りたいトコ、しっかり押さえてる」
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