~Still~
エレナは、雑誌の中で微笑んでいる颯太を凝視した。

一緒にいたときより、幾分か頬がシャープになった気がする。

それに、髪の色もブラウンから漆黒に変わってるし……。

相変わらず男らしい眉の下の、どこまでも見透すような綺麗な瞳。

「会いたいな……」

エレナは無意識に口に出していた。

「行くわよ!」

「え?」

「だから、行くわよ、神谷颯太のところへ!!」

咲希が素早く立ち上がり、残っていたジョッキを豪快に煽る。

勢いがよすぎて、唇の端からビールがこぼれたが、咲希は動じることなく片手でグイッと唇を拭った。
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