~Still~
エレナは、あと3段で一階に着くという位置で、階段の真ん中に腰を下ろしたままの背中を見つめた。

「そこの銀髪のキミ、どいてくれない?」

エレナは背後から声をかけたが、男子高校生は、ピクリとも動かず、あとの二人はその状況を楽しむようにクスクスと笑った。

…はっはーん…バカにしてるわけだ。

大人、舐めんなよ。

エレナは大きく息を吸うと、片足を上げて銀髪男の背中のど真ん中を、ガツンと蹴った。

「ってぇっ!!」

「どけっつってんのよっ!」

「んだと、このブス!!」

床に膝をついたあと、体勢を立て直した銀髪男の横をすり抜けようとして、エレナはピタリと足を止めた。

ちょっと待て。
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