~Still~
英語で映画の見所を生き生きと語るエレナを見た時、健斗は自分の胸の中に湧き起こる、言葉にしがたい感情に目眩がした。

俺がイマイチ女に本気になれないのは、エレナの存在があるからだ。

エレナほどイイ女はそういない。

姿形が美しい女なんて、山ほど出逢ってきた。

そんな女に言い寄られた事だって、数えきれない程ある。

健斗は、自他ともに認める『仕事の出来る男』だ。

見た目も悪くない。

けれど。

エレナだけは、なびかなかった。

健斗に好意を寄せていたのは最初だけで、みるみる彼女の眼からはトキメキや、憧れといった、恋に必須な項目が消え失せていった。
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