~Still~
結婚できなくてもいい。

俺を、エレナの心に刻み付けさえ出来れば。

健斗はエレナの均整の取れた後ろ姿を追いながら唇を引き上げた。

そうだ。

エレナの心に。

健斗はフラフラと歩いて、エレナの後をゆっくりと追いかけた。









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


エレナはタクシーに乗るのをやめ、 徒歩でミッドタウンを目指した。

良く考えるとそんなに飲んでないし、充分歩ける距離だ。

独りで歩いていると、つい颯太の事を考える。

もしかしたら会えるかもと思っていた。

けれど今日は空振り。
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