~Still~
この国に自分をそう呼ぶのは彼しか、いない。

エレナは夢中で視線を動かした。

どこ?!どこ?!

「エレナさん!!」

声のした方向を夢中で見つめると、交差点のすぐ脇に一台の車が停車してあり、そのドアから一人の男性が姿を現すと、こちらへ駆け寄ってくるのが見えた。

エレナは眼を見開くと口に手をあてがい、硬直した。

「エレナさん!」

ああ、颯太くん……!

それは、スーツ姿の颯太だった。

相変わらず背が高く、精悍な顔立ち。

「そう、た、くん……」

「会いたかった!」
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