~Still~
颯太は僅かに眉を寄せてそう言うと、エレナを乱暴に引き寄せた。

ギュッと抱き締められて、エレナは颯太の匂いと温もりに心がじんわりと温かくなるのを感じた。

颯太は少し身を起こすと、エレナを見つめた。

「車に乗ってください。話がしたい」

エレナの返事も聞かず、颯太は彼女の腕を掴んで歩き出そうとした。

「あの、でも、」

「ダメです。来てください」

短く言うと、颯太はエレナを抱き上げた。

「うわっ!颯太くんっ」

「……」

エレナを抱き上げたまま大股で車に戻ると、颯太はエレナを助手席に押し込むように乗せた。
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