~Still~
エレナは、その言葉に胸を突かれて俯いた。

あの時のやり取りが甦る。



『じゃあ……ちゃんとしたら付き合ってくれるのかよ』

『そうね。
いつかあなたと私が再会した時、あなたがちゃんとしてたらね。しっかりと働いてて真面目で、私がそんなあなたに恋したら、付き合ってあげる。結婚だってしてあげるわよ』



エレナは、運転席の颯太を見つめた。

「もしかして、あの時の会話のせい?」

颯太はフッと笑った。

「はい。あ、言っておきますが、無理して住んでた訳じゃないですよ。一度、住んでみたかったですし。
それに僕がちゃんとしてたら、ビッグなご褒美が貰えますから。もう着きます」

颯太は、立派なレンガ造りのマンションの地下へと車のハンドルを切った。
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