~Still~
エレナは、胸の高鳴りを抑えることが出来なかった。

颯太が、あんな子供じみた口約束のために頑張ってきたのかと思うと、ただただ申し訳ない思いと、想像を越える自分への愛情を感じた。

うつ向いた瞳から、涙が止めどなく溢れる。

颯太が助手席のドアを開けた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

現在の颯太のマンションは、コンシェルジュはいないものの、立派な建物で、部屋の中も広かった。

いまだに涙をこぼすエレナを見て、颯太が優しく両手を広げた。

「おいで、エレナさん」

「颯太くんっ」

エレナは、颯太の腕の中に飛び込んだ。
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