~Still~
颯太の厚い胸に抱かれて眼を閉じた時、エレナの頬を大きな手が包んだ。

視線が甘く絡んだのはほんの一瞬だけで、代わりに唇が触れ合った。

颯太は少し顔を離してエレナの瞳をじっと見つめると、今度は激しく彼女に口づけた。

「っ……!」

エレナ、エレナ。

やがて激しかった口付けが、甘く誘うような、色香に包まれたようなキスに変わり、エレナは吐息を漏らした。

その声を聞くと同時に、颯太はエレナをさらうように抱き上げた。

体が急に浮き、眼を見開いたエレナを、颯太が無言で見つめた。

それから、呟くような、囁くような低い声で、エレナに問う。

「……もっと、感じたいですか、僕を」
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