~Still~
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「会いたかったですか?僕に」

颯太はエレナと手を繋いだまま、ベッドから天井を見つめた。

「……うん」

消え入りそうな声で返事をしたエレナを、颯太が身を起こして覗き込む。

「ん?」

悪戯っぽく光る瞳。

……聞こえてたクセに。

エレナは颯太をちょっと睨んだ。

けれど、ちゃんと言いたい。

「会いたかったよ」

エレナは、真っ直ぐ颯太を見て言った。

途端に、今度は颯太が視線を落ち着きなくさ迷わせ、やがて照れたように咳払いをした。

「すげー、嬉しいです」

颯太はエレナの体に腕を回すと、彼女の肩に顔を埋めた。
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