~Still~
披露宴で、スクリーンいっぱいのエレナを見た時、颯太は息をのみ、グラスを傾ける手が止まった。

新郎新婦に、極上の笑顔で祝いの言葉を口にしているエレナが眩しく、愛しく、颯太の胸は切なく軋んだ。

司会者が、エレナがハリウッド女優だと告げると、皆が感嘆の言葉を漏らした。

「アグリッピナに出てた、エレナ・リーダスよね!?」

「ポッパエア、凄く嫌な女だったけど、この人、めちゃくちゃ可愛らしくて素敵じゃない!いーなあ、木佐君、こんな素敵な女優さんと友達だなんて」

エレナを誉める色んな言葉に、颯太は照れ臭いような喜びを感じた。

「随分ストイックというか……手厳しい女だな、エレナさんは」

隣の席の響が、ボソッと呟くように言った。

颯太は、響の、『手厳しい』という言葉に苦笑した。
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