~Still~
そんな颯太を見ながら響はグラスを傾け、眉を寄せた。

「手厳しい以外の言葉が見つからねぇ。だって、そうだろ?!
彼女はきっと、お前が好きで仕方ないはずだ。なのに、身を切る思いでお前の前から去り、見事にポッパエア役を勝ち取った。その後再会しつつも、まだ続きのある夢のために泣く泣くお前と別れた。
意思が強くて、自分を曲げないんだ。
男からすると、手厳しい女以外の何者でもない」

颯太は、クスリとわらった。

「……響、お前の言う通りだ。彼女は手厳しい」

響は、どうする事も出来ない思いを抱えた、切ない眼差しの颯太を、チラリと見た。

「お前ってやつは……」

「俺、バカかな?響……」

颯太は、頼りなげに親友に眼をやった。
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