~Still~
「バカなわけない。
……お前は凄いんだよ。器がでかいんだ。だから彼女に夢を選ばせた」

颯太はギュッと眼を閉じた。

「お前の言葉が、何より嬉しい」

「……颯太、俺はお前の親友だから言うけど……この状況が辛いなら、無理すんなよ。そんなの、エレナさんだって喜ばないからな」

「……わかってる」

颯太はそこで言葉を切り、幸せそうな新郎新婦を見つめた。

「でも俺……」

颯太は言葉を途切れさせ、唇を引き結んだ。

「…………」

響はそんな颯太を見ず、呟くように言った。

「わかってるよ、颯太」
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