~Still~
「アグリッピナの日本公演PRで来日した時に会ったのが最後で、あれからもう二年が経ってる。
だから、彼は結婚してるかも知れないし、そうじゃなくても恋人がいるかもしれない。
でも私、颯太くんに伝えたいの。
まだ私は、颯太くんが大好きって事を」

エレナはそこまで言って、一旦言葉を切った。

それから再び口を開いた。

「 でもね。
颯太くんと結婚したいことも、彼の子供が欲しい事も本当は伝えたいけれど、これは彼に特別な人がいるのなら、言わないでおく。だって、彼に迷惑かけたくないし、彼の大切な人を悲しませたくないから。
……変な言い方だけどね、多分、彼の大切な人なら、私にとっても大切な人だと思うから」

『 彼の大切な人なら、私にとっても大切な人だと思うから』

咲希は、エレナのその言葉を聞き、我慢できずに声を上げて泣いた。
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