~Still~
亜子は、カウンターに身を預けるようにしながら、エレナの体を避け、彼女の左隣で泣いている咲希に声をかけた。

「咲希、エレナの本音、聞けたんだからそろそろいいでしょ」

咲希がウンウンと頷く。

手早く自分の涙を拭きながら、咲希は前を向いた。

「もう、誤算だわ。泣いちゃうなんて。
てな訳で、いいわよ!!」

「は?……何がいいのよ」

エレナは、眉を寄せて両隣の親友を交互に見た。

ちょうどその時。

「っ!!!」

前方……ズラリと上の方まで並んだ色とりどりのボトルを背に、誰かが現れた。

…嘘でしょ!!

エレナは驚いて息を飲んだ。
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