~Still~
幅の広いカウンターテーブルの下方から、立ち上がり、三人の前に現れた人物。

嘘っ…………!!

「…………!!」

大きく眼を見開き、口と鼻を両手で隠すようにしながら硬直するエレナに、咲希と亜子が言った。

「悪いけど、先に連絡取らしてもらったわよ」

「後は二人で話し合ってね、じゃあね!」

足早に去っていく親友達に何も言葉を返すことが出来ず、エレナは信じられない思いで目の前の人物を見つめた。

「お久し振りです。初めて雑居ビルで会って、その六年後に再会した時と、一緒ですね」

エレナの手が小刻みに震える。

声が出ない、どうしよう。

「エレナさん?」
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