~Still~
スラリとした長身、艶のある短い黒髪、キリッとした眉、切れ長の眼、通った鼻筋。

「そ、うたく、ん……」

「エレナさん」

低くて柔らかい声。

なにか、なにか、言わなきゃ……。

今までにないくらいの緊張がエレナを襲う。

貼り付いたような喉を押し開き、エレナは一生懸命口を開こうとした。

「You still……」

ダメだ、これは日本語じゃない。

「……Do you still……」

ああ、だからそうじゃなくて。

エレナは違うというようにかぶりを振った。

どうしよう。
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