~Still~
「あの日、六年ぶりに言葉を交わしたんです。
ずっと憧れていたエレナさんと」

エレナは、背の高い颯太を見上げた。

不良高校生だった颯太くんが、こんな風にスーツを立派に着こなし、堂々として落ち着きがある素敵な人になるなんて。

暫く見つめ合っていたが、颯太がふいに視線をそらした。

「ダメだ、可愛すぎて見ていられません」

颯太は参ったというようにそう言うと、身を屈めて彼女の耳に形の良い唇を寄せた。

「早くエレナさんを抱き締めたい」

「……っ!」

エレナの恥ずかしそうな顔を見て、颯太はフッと笑った。

「ヤバイ」

颯太はそう言うと、エレナの頬にキスをした。
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