~Still~
「正直、長かった」

エレナは、ぎゅっと颯太にしがみついた。

「ほんとだよね。長かったよね。ごめんね」

颯太は短く返した。

「許さない」

「……ごめん……」

「許さない!」

颯太の体は震えていた。

颯太くん……。

「颯太くん……」

エレナが僅かに身をよじると、颯太は顔を上げてぎこちなく笑った。

「頭では分かってたんだ。
エレナが夢を追うってことは、こういうことだって。
いつ会えるか分からない、いつ結婚できるかも分からない。離れているうちにエレナの愛が冷めて、俺はそれを日本で、気付く事なく待ち続けるのかと。
狂いそうな程愛してるのに、すぐ抱き締められない距離と、自分が年下だって事実。
正直、キツかった。
でも、俺……」

颯太はギュッと眉を寄せたままエレナを見た。
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