~Still~
「……よかった!
本当は、その傷だって俺が治してあげたかったんだけど」

エレナは首を振った。

「自分でも気付いてたの。この心の傷は自分じゃないと治せないって。だから、謝らないで」

颯太は複雑な表情をした。

エレナは、颯太にそんな顔させたくなくて
、笑顔で彼に尋ねた。

「颯太くん、二年前、俺にも夢があるって言てたよね?
……あなたの夢は、どうなった?」

颯太は白い歯を見せて笑った。

「俺の夢は……もうすぐ叶いそう。
……あと、10分程で叶ったかどうか分かるかも」

エレナは、驚いて颯太を見つめた。

「は?」

颯太は精悍な頬を傾けて、僅かに眼を細めた。
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