~Still~
「言っただろ、俺」

エレナはたじろいだ。

……どうしよう、いつ言われた言葉だろう。

「俺が言った言葉、忘れた?」

「……」

エレナの焦った顔を見て、颯太はクスリと笑った。

「いや、もう叶ってるかも。
もう、そう思わせたかも」

そんな颯太の言葉に、エレナは眼を見張った。

……もしかして……颯太くんの夢って、仕事の……お酒のことじゃなくて……。

暫くエレナは考えて、やがて思い出した。

雑居ビルで初めて出会って、それから六年後に再会したあの夜。
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