~Still~
そうだ。

そうだ、確かにこう言われた。

『あなたを絶対、惚れさせる。絶対僕に抱かれたいって思わせます』

『掃除も洗濯も料理も、僕のためにしたいって思わせます。子供だって欲しいって、思わせます。僕の全てが欲しいと』

颯太、くん……。

エレナは、フフフと笑った。

……伝えたかった今の想いが、颯太くんの夢だったなんて。

それからゆっくりと颯太から身を離して、エレナは数歩下がった。

「エレナ?」

颯太が僅かに顔を傾けた。

エレナの瞳が濡れて光り、涙がポロポロとこぼれて頬と服に伝う。

「エレナ、思い出さなくてもいい。
けど、今から俺の言う事、聞いてくれる?」
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