~Still~
緊張のあまり声が震えるエレナを見つめて、颯太は僅かに眼を細めた。

「颯太くん……私と、結婚してください」

颯太の瞳が、柔らかな光を帯びた。

「なんだよ……俺が言いたかったのに」

そう言いながら泣き笑いの表情で、颯太はエレナを見つめた。

愛しいエレナ。

「エレナ。結婚しよう」

颯太は、再びエレナを引き寄せて胸に抱くと、ギュッと抱き締めてから身を起こした。

「もう、離さないからな。絶対はなさないから」

「うん、うん、颯太くん」

「知ってた?あの雑居ビルで初めて会った時から、もう十年が経つって」

「……うん、知ってた」

「これから、よろしくな」

「私の方こそよろしくね、颯太くん」

互いの笑顔が嬉しくて、二人は長く見つめ合っていた。

~Still~

end
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