~Still~
ブス、ですって?

階段にドサッと段ボールを置くや否や、エレナは銀髪男に近寄って正面に立つと、その顔を見上げた。

……無駄に背の高い男。

それからおもむろに彼のネクタイを掴むと、グイッと自分の顔に引き寄せて、男のコンタクトレンズを入れたグレーの瞳を至近距離から覗き込んだ。

「ブスかどうか……よく見てから言ってもらえる?!」

「おい、大丈夫かよっ」

「蹴り入れたぞ、この女!」

銀髪男は、チラリと仲間二人に眼をやると、静かに口を開いた。

「お前ら、先に行け。後で合流な」

「おっけ」

「ここでこの女、食っちまうなよな!」

「いいから、行けって」

「へいへい。後でな」
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