~Still~
「ほんとですか?!この、『慕情』は、熱燗で飲むのが一番なんですが、他にも美味い酒がいっぱいあるんです。もしよろしかったら今度、一緒に」

エレナは、控えめだが嬉しそうに話す颯太を見て、思わず胸がキュッとした。

やだ、グッとくる。

中高な、男らしい顔なのに、まるで気取らない笑顔。

キリリとした眉の下の切れ長の眼。

通った鼻筋と、豪快に笑う清潔そうな口元。

ヤバい。

エレナは、颯太に見惚れていた。

一方颯太は、一心に自分を見つめるエレナがあまりにも可愛らしくて、思わず口ごもった。

「あっ……すみません、僕……」

「ううん、嬉しい。色んなお酒を飲んでみたいです」
< 42 / 351 >

この作品をシェア

pagetop