~Still~
テラスへ出て、二人で並んだ。

「わあ、凄い!綺麗……」

月並みだが、宝箱の中身がひっくり返ったようだ。

エレナはフフフと笑った。

「どうしたんですか?」

颯太が斜めからエレナを見下ろして、眉をあげた。

「あの、ピカピカの東京タワーが一番好き」

風が心地よかった。

エレナは、隣の颯太をチラリと見た。

途端に視線がぶつかり、互いに言葉をなくしたまま、見つめ合った。

「……」

先に動いたのは颯太であった。

「……っ!」
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