~Still~
抱き寄せず、ただ顔を近づけてエレナの唇にキスをした颯太を、エレナは驚いて見つめた。

「もっとキスしてもいいですか」

「えっ」

颯太はエレナの瞳を覗き込んだ。

潤んだ大きな瞳。

何て魅力的なんだ。

そっとエレナの顔を両手で包み、精悍な頬を傾けると、颯太はエレナに二度目のキスをした。

頬から手を離し、両腕をエレナの腰にまわすと、颯太はその腕に力を込めた。

互いの体が密着する。

その途端、エレナは胸が高鳴り、颯太は体の奥がジンと痺れた。

何度も角度を変えながらキスを深め、それから顔を離すと、颯太はエレナを抱き上げた。

「きゃあっ」

「首に掴まっていてください。部屋に入りましょう」
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