~Still~
「私が大女優になったら、高く売れるわよ」

颯太は返された携帯の画面を見つめた。

二人の顔がアップに写されていて、まるで恋人同士のようであった。

「じゃあね!」

再び大きな段ボールを抱え、僅かに颯太を振り返るとエレナは歩き出した。

「約束だからな!
俺とお前が再会して、俺が出世してたら、俺に惚れさせたら」

「分かった分かった!付き合う、付き合う!結婚も、するする!」

あはは!

どうせ、もう会うこともないわ。

明日、アメリカに帰る。

演劇学校の製作発表、アルバイト、エージェント探し。

颯太は携帯を握り締めた。
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