~Still~
『ねーちゃん、しっかりしろ!俺がアイツをぶっとばしてやる!』

憎しみを込めた玲哉の低い声を、今もしっかり覚えている。

私は、何もなくなった部屋のベッドの上を見て震えていて……。

あの光景を思い出したら寒気がしたが、エレナは眼を閉じて、颯太に気付かれないように深呼吸すると、物憂げな表情でさらに続けた。

「だから年下の男はもう懲り懲り。
年下とは付き合わないし、好きにもならない。だからセックスもしない」

「けどあの時、あなたは僕に抱かれたかったんじゃないんですか?それが、僕が年下だと分かった途端、部屋を出ていった。
あの時点まで、僕を年下と思わなかったのは、僕を」

「とにかく、年下は大嫌いなのよ」

颯太の言葉を遮り、エレナは吐き捨てるように言った。
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