~Still~
やだ、なに?!

ドキドキと、心臓が早くなる。

エレナは、高鳴る胸を押さえながら、焦って言った。

「私と結婚しても、いいことなんて何もないわよっ。だって、掃除も洗濯も嫌いだし、誰かの為に料理を頑張ろうなんて思わないし、子供だっていつになるかわかんないし」

慌てるエレナが可愛くて、颯太はクスッと笑った。

「掃除も洗濯も料理も、僕のためにしたいって思わせます。子供だって」

そこで一旦言葉を切ると、颯太はエレナに囁くように言った。

「欲しいって、思わせます。僕の全てが欲しいと」

「……」

「というわけで、今日から1ヶ月間、ここにいてください。あのときの約束を守るために」

言うや否や、再びチュッとエレナにキスをすると、颯太はスーツケースをゲストルームへ運んだ。
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