~Still~
「あの……」

「なんですか?」

「変じゃない?」

颯太は僅かに口を開けてエレナを見た。

「何がです?」

「だって、あなたと出会ったのは6年も前だし、それから一度も会話してないのに、あなたは私と恋愛したいわけ?!
1ヶ月経たない間に、私を嫌になるかもよ?だって私、何もないもの。財産もないし、女優の仕事だって、まだレギュラーキャストになれてない。映画のオーディションには落ちまくりだし、エージェントのジョーイには、アジア系ってだけで嫌われてる」

颯太は両肘を曲げて掌を上に向けながら、眉を寄せて話すエレナを見つめた。

ほんと、分かってない人だ。

「あなたがいいんです」

「やっぱり誘拐」

「違います」

「じゃあ、レイプ」
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