~Still~
「なにそのいやらしい顔」

ぐ!

颯太は決まり悪くて思わず咳払いをした。

「嘘よ。おはよ」

「おはようございます。朝食作ったんですけど、いかがですか?」

「ありがと。でも遠慮しとく。今から走るから」

「走るんですか?」

「うん。その場駆け足だけど。安心して。ドタバタしない」

汗で汚さないように、床に自分のタオルを敷きながら、エレナは爪先を上げきらずに、その場で駆け足を始めた。

「じゃあ僕、待ってます」

再びイヤホンをしたエレナは、それに答えず、颯太は走るエレナをしばらく見つめた。
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