~Still~
「いい出会いだったんですね」

「……うん」

ただ、エレナにはわかってしまっていた。

自分はどんなに頑張ってもシェリルと同じ位置に立てないことを。

何故なら、たとえアメリカ人であっても、アジア系だからだ。

アメリカの作る映画やドラマで、アジア系が主役など、限りなくゼロだ。

合作でも難しい。

役者の世界で、肌の違いを乗り越える事は大変難しい。

しかし、それでもいいとエレナは思い始めていた。

自分にしか出来ない役が、必ずあるはずだ。

アメリカには吐いて捨てるほど役者がいる。

有名な演劇学校を出たからといって、売れっ子にはなれない。
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