~Still~
落ちた視線の先には、琉球硝子の酒器がライトを反射して光っていて、エレナはそれを手に取ると唇に運んだ。

「美味しい」

「よかったです」

「颯太くんの、彼女いない歴は?」

アーモンド型の綺麗な眼が颯太を捉える。

颯太は一瞬躊躇した。

「……あの時からいません。六年前から」

「……そう」

もしかして、それって……。

いや、よそう。

彼は年下だ。

期待できない。

「さあ、もっと飲んでください」

「うん、ありがと」

二人はそれ以上、その話に触れなかった。
< 93 / 351 >

この作品をシェア

pagetop