~Still~
「いやーん、運命感じちゃうー!」

ヨーロッパから帰国した咲希は、カフェの賑わいに乗じて叫んだ。

六年前オープンした咲希の服屋は、瞬く間に急成長し、今や代官山に広々とした店を構えている。

ヴィンテージものを主とした服を揃え、雑貨にもこだわっていて客が絶えない。

テラス席にすわり、けやき坂の街並みを眺めていたエレナは、焦って咲希を睨んだ。

「声がでかい!」

「時差ボケで、テンション高いの」

咲希は悪びれたようすもなくスフレを頬張った。

「神谷颯太ってさ、雑誌に出てたよ。半年前位かな?もう少し前だったかなあ?前にあんたが日本に来て、アタシと遊んだ時にはあの雑誌もう出てたから、半年以上前だね」

「そーなんだ」
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