~Still~
だから出版社の人と接する機会があったんだ。

「NEEDって雑誌なんだけどさ、アタシも読んだわ。これでも一応、『女実業家、カリスマバイヤー咲希』だからね!
神谷颯太が『老舗造り酒屋の若き社長』て、対談形式の特集記事で出ててさ、あまりにもイケメンだから、表紙も彼だったんだよね。で、結果、バカ売れしたんだってよ。
そんな雑誌今まで興味なかった主婦層まで買っちゃってさ。
うちの旦那が言ってた」

「ふーん……知らなかった」

咲希は眉をあげた。

「彼から聞いてないの?」

「聞いてない」

「やっだー!自慢しないところが素敵ーっ」

それから咲希はエレナを見つめて、

「しかし、あの神谷颯太が不良少年で、その時にあんたと出会ってたなんて……アタシに感謝しなよね!アタシの店手伝いに来てなかったら出会ってなかったんだからね!」

「感謝……」

「だって彼、めちゃくちゃイケメンだし、経済的にも文句ないし、おまけにあんたと付き合いたいんでしょ?」
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