恋のデザインは色鮮やかに。
今見えているのはまだ笑い続ける男性。
たぶんこの人は就活なんてしたことないのだろう。
だからこんなふうに笑えるんだ。


ならば教えてさしあげよう。
就活がどれ程苦しく険しい道のりなのかを。


「…。何も見えませんよ。
一寸先は闇です。

慎重に歩いていたはずなのに、気がついたら前も後ろもわからない闇の中で。
進んでるのか後退してるのかもわからないけど、立ち止まることは許されないんです。

闇には簡単には入れるのに、全然光は見えてこない。


そりゃ、神にだってすがりたくなりますよ」


話ながらどんどん気持ちが沈んでいく。


「なかなか面白い例えをするね。
嫌いじゃないよ。

就活上手くいってないのにそんなふうに分析できるなんて、意外と強靭な心の持ち主みたいだし」


「心なんて折られすぎてもう麻痺してるんです。

…あなたは、就活したことありますか?」


思いきって聞いてみた。
答えは予想できるけど。
< 12 / 250 >

この作品をシェア

pagetop