恋のデザインは色鮮やかに。
その人は起き上がってどこかへ行こうとしている。


「喋ってたら、アイデアまとまってきたから帰るわ。

じゃあな」


そう言って傘をさすと、雨を弾く石畳の上を歩いていく。
途中でずるっと足を滑らせ、イテッと言っている。


「調子に乗るからですよ」


聞こえてるかはわからないけど、そう言ってやった。


アイデアがまとまったって何…?


それにしても…


「あの人、傘持ってたんだ…」


雨宿りをしていた訳ではないらしい。
そのアイデアというものでも考えていたのだろうか。


結局私だけ個人情報を開示して、向こうの事は何も聞けなかった。
それどころか嘘までつかれた。


ま、いっか。


もう会うこともないだろうし。


きっと私にも、もうすぐ就活の女神が微笑んでくれるはず。
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