恋のデザインは色鮮やかに。
“感受性が豊かだね”
幼い頃から何十人、何百人の人にそう言われてきた。
親にも友人にも。


おそらくそれは俺の作品を見ての誉め言葉なのであろうが、俺はそうは捉えられず、“気にしすぎだ”“打たれ弱い”と言われているような気がしていた。


感受性が強いということは、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚など、俺に向けられる全ての刺激に脳が過敏に反応してしまうということだ。


それがどういうことなのか、理解してくれる人に今まで出会ったことはない。


かつて、学校でクラスメイトが俺の陰口を言っているのを聞いてしまった時の話。


俺はその瞬間から陰口のことで頭が一杯になった。


彼らに好かれようとしていた訳ではないのに、考えずにはいられなかった。
その言葉が自分に向けられたショックや悔しさという感情は生まれず、ただその言葉の持つ性質だけが俺を刺激した。


そして数日間家にこもって暗くて、汚くて、ドロドロとした絵を描き続けた。


決して人に見せられるものではないレベルの暗黒さだった。
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