恋のデザインは色鮮やかに。
「…悪いけど、伊藤の気持ちは受け入れられない。


時間はかかるかもしれないけど、俺はナルとの関係を修復したい」


あ…。
告白というものは、こんなにもあっさり終わるのか。


「どうしてもナルさんが大事なんですね。

私の気持ちは無視ですか…」


「無視してるつもりはない。

気持ちに応えられないだけだ」


「ナルさんの何がそんなにいいんですか?

青山さんの所に行ってしまっているのが現実ですよ?」


伊藤の言葉は熱くなり、徐々に棘を持つようになる。


「ナルは、1度も俺に黒い感情を向けたことがないんだ。
それがすごく安心できる。


それに、良いイラストを届けるために俺よりも一生懸命に動き回る。
そんな姿を見せられちゃ、黙っていられない。
ナルのためなら頑張ってもいいかって思える。

一番近くで見守っていて欲しい人だから」


レイの言葉にじんわりくる。
気づかなかったけど、レイはナルちゃんに救われていたんだ。
たぶん心の拠り所だったんだろう。


それに、レイはちゃんとナルちゃんのことを見ていた。
どこがいいのか、と聞かれても思い付かないことがよくあるけど、レイは違った。


そんなレイを伊藤が振り向かせることは難しそうだ。
< 216 / 250 >

この作品をシェア

pagetop